鈴木智彦著『サカナとヤクザ』補稿

新刊の資料、補足、写真、こぼれ話。

台湾の、いわゆる日本でいう水産庁

台湾取材の際、いちおう当てにいきました。通訳はあっちが用意してくれるということだった。俺としては「台湾がシラスを輸出禁止にしたのは、シラスを売ってくれない日本への報復」と言って欲しいわけですが、役人さんに、いきなり、正面から質問をぶつけても…

種子島のウナギ露地池

路地池の水をポンプで抜いていくと、大方のウナギは水と一緒に吸い込まれるんですが、なかなか一網打尽にはできず、最後まで泥の中をウナギたちが這い回ります。それを写真のような箒に似た竹製の道具で、ポン歩の吸込み口まで追い込んでいくんだけど、けっ…

初版の誤植。正誤表について

なんども確かめたつもりだったのですが、現在、初版にこれだけの誤記を発見し、二刷以降、訂正しております。申し訳ありません。 ●P6 クレジット 古賀太郎→古賀大郎 ●P9 10行目 千葉県夷隅郡大原町→千葉県夷隅郡大原町(現・いすみ市) ●P119 8行目 トドとか…

香港の立て場

水産業でいう”立て場”には複数の意味があり、この場合、シラスを一時的に泳がせておく水槽を意味している。立て場訪問することがなぜ「すごいスクープ」(NHKの記者に言われた)になるのか、業界誌の記者から「東京湾に浮かびますよ」と脅されるのか、最初はなか…

花咲港のイカ釣り船

いまのイカ釣り船は、イカをおびき寄せるためのライトがLEDになっていて、ずいぶん雰囲気が変わってしまった。根室の章に、この街が賑やかだった頃、全国から根室にやってきたイカ釣りの船を係留する場所がなく、5隻、6隻数珠つなぎにしていたという証言を載…

密漁団車両の特別装備

密漁団の使うハイエースなどのワンボックス車や、陸周りの車には特別なスイッチが後付けされている。これをオフにすると、インパネ照明、ブレーキランプ、バックライトが消える。密漁団にとって、海産物の積み込みは現行犯逮捕されれば言い逃れできない魔の…

ホクレンフラッグと間違えて、ロシア人に出した旗

『サカナとヤクザ』に出てくる旗、まさにそれだけの写真ですw 相手が日本語分かんないでよかったw NHK出版 これならわかる ロシア語文法 入門から上級まで 作者: 匹田剛 出版社/メーカー: NHK出版 発売日: 2016/02/16 メディア: 単行本(ソフトカバー) こ…

やっとまともな取材ができた漁協の関係者

ひやま漁協の元組合長である市山亮悦さん 市山さんは北海道の漁協関係者じゃ有名人だったので、インタビューには応じてもらえないかと思っていた。連絡先を調べ、電話を入れ、これまで何度も漁協に取材を申し込んだが断られたことも話したら、「そりゃそうだ…

ターレーを自家用にしたい人、俺の他にもいるだろう。

ターレーってのは、ターレットトラックという意味で、戦車の砲塔のように駆動部(前輪部分)がグルグル回転するからです。なのでものすごく小回りがきき、狭い冷凍庫の中でも方向転換が出来きます。 築地にはまだガソリンターレーも残っていて、大坂では地元…

ぜひとも北方領土を見に行って欲しい。

北方領土までの距離がすっごく近い、視察に来た政治家や役人が「こんなに近いとは思わなかった」と漏らし、地元をがっかりさせてることは、『サカナとヤクザ』でもけっこう書きました。そういった嘆息はいろんな本に書かれており、本書では沢木耕太郎の著作を…

押収された密漁団の道具はすべてが当人に買い戻される。

テレビでナマコ密漁団の使う独特な道具をみたことがある方もいると思います。海上で一切、ライトを使わない彼らは、台所用のザルに防水ライトを結束バンドでくくりつけている。かっこわるいが安いし使い勝手がいいそうです。 現行犯逮捕はブツ(密漁した海産…

どうしてあれほど、ロシア人に直当てしたかったのか。

ハーレーがロシア人相手のコミュニケーションに役立つとは思わなかった。 当時、日本に入ってくるロシアの船が、ほぼ確実にカニの密漁船であることは掴んでいた。カニの業者から、本国でばれると大変なのでインタビューには応じるはずないと忠告されていた。…

陸に上がった北海の大統領がオープンしたキャバレー。

根室市梅ヶ枝町にある”村さ来”の場所に、かつて北海の大統領と呼ばれた石本登がオープンさせたキャバレー南千島があった。全道からホステスを引き抜き、前借り金や引っ越し費用も石本が負担して約50人を揃え、昭和43年(1968年)にオープンしたマンモスキャ…

軽トラで根室まで走って、最後のレポ船主を直撃した理由

「島を返せ」ってすごくないですか。北海道でも根室だけです。街中のあちこちに「北方領土を返せ」というスローガンが貼ってあるのは。『サカナとヤクザ』に出てくる田中勇一さん…最後のレポ船主なんですけど、もう島がかえってくるとは思ってない、と言って…

飯岡組VS.笹川一家の対立抗争事件

平手造酒の殺害現場は、ちょうど墓地の中にある。 と、ヤクザ記事風に書けばそうなる。講談『天保水滸伝』では、大利根川原の決闘と呼ばれてます。双方が喧嘩支度をして、人気のない場所に集まって、無関係の市民が巻き添えにならないよう殺し合うってのは、…

漁協の取材に密漁団がついてきた。

北海道では、噴火湾のナマコは枯れないんだそうです。生物学的に裏が取れなかったので本には書かなかったけど、密漁団はそう言う。だからまず最初は噴火湾の漁協に取材を申し込んだ。実をいうと、このエリアの漁協は排他的で、気が荒いと言われてます。密漁…

ダイバーがナマコを入れる玉ねぎ袋

北海道檜山郡上ノ国漁協で撮影 ナマコ漁は、桁引きと潜水の二種類があります。前者は船の上からどでかい鋼鉄製の熊手を落とし、それを引っ張って海底をさらう漁法です。岩礁地帯ではできません。そうした場所では潜水で獲ります。漁協が潜水部会を作るか、プ…

黒いあまちゃんとの再会

黒いあまちゃんとは5年後に再会しました。俺は最初の出会いの時、彼女のことを週刊誌に書かせてもらった。『サカナとヤクザ』には再会時のエピソードも載っている。でも、ほんといえば、書かなかった部分がある。俺は彼女をもう一度呼び出しているんです。 …

花咲港のロシア船

色目が暗くてすぐ分かります。不審船団の趣です。写真撮ると揉めると脅されたので、望遠レンズで撮影してるw 根室はあちこちにロシア語の看板があるんですが、花咲港にもあります。 北方領土問題―4でも0でも、2でもなく (中公新書) 作者: 岩下明裕 出版社/…

根室市の防災無線

第五章に出てくる大津美子の『ここに幸あり』です。昭和31年5月のヒットらしい。作曲をした飯田三郎が根室の人なので、故郷の防災無線に採用されたということらしい。ぶっちゃけ、女は男に愛を捧げて生きるればOK的なクソみたいな歌詞なので、作曲家のほうで…

玄関先に羆の剥製があって、シャワーが出ないのに1万円だったホテル。

第五章に出てくるホテルです。空調はいさぎよく温風スイッチのみ。ま、根室の気温だと全然問題はないんだけど。 あと、この話は書かなかったんですが、ジャティック事件で米兵を隠したり、特攻船の陸周り(暴力団側の見張り)がたむろしていた玉屋旅館ってあ…

根室・特攻船のシルエット

別のエントリーにも書いたが、俺は乗り物やカメラの描写がやたら多く、詳細になります。特攻船に関しては、遠慮なく自分の趣味を発揮して取材・検証しました。最高速度や改造方法、操縦のテクニックなど、詳細に聞き書きした。他の書き手なら無視するような…

築地の魚河岸のナンバーワン食堂

そりゃあ吉野屋の1号店でしょう。異存あるまい。狂牛病騒ぎの中でも牛丼の提供をやめなかったらしい。銚子市に観光行って肉を食う逆張りはイラッとくるんですけど、魚河岸で肉を食うのは、ここで働いてる人間のチョイスに乗っかってみるという雰囲気があって…

釧路から根室に向かう途中、思わずバイクを止めた場所。

釧路から根室まで、もう何往復したかわかりません。走るたびに綺麗で北海道らしい風景と感じる。根室では見たこともない野鳥がこうした風景をバックに飛んでるだけではなく、ごみステーションで生ゴミを漁っておりますw ものすごくシュールな光景です。 倦…

根室に残る密漁の残滓

密漁で栄えた根室には、全国から有名な店のコックが集められました。そしてたくさんのオリジナル料理を考案した。それだけ街が賑やかだったわけです。『サカナとヤクザ』で、もっとも取材と執筆に時間をかけたのが根室の密漁です。関係者に直接話を聞けるの…

東庄の十一屋を今風にいえば密接交際者

東庄には天保水滸伝に出てくる十一屋が残っています。今は旅館をやめ、当主の陶芸展示室になっているんだけど、外観は往事を感じさせる渋いたたずまいです。ここでなにがあったかというと花会です。浪曲師は「はながい」と発音していますが、「はなかい」で…

東庄は町全体が暴力団推し

俺が知ってる限り、街ぐるみで地元のヤクザを観光資源にしているのは、静岡県の旧清水市(現静岡市清水区)と千葉県東庄町のふたつです。前者は清水次郎長の地元であり、後者は天保水滸伝の善玉である笹川繁蔵の縄張りになります。そう書くと、「当時の侠客…

銚子の飯屋について書かせてほしい。

出張先でTweetすると「あれがおいしい」「この店に行って下さい」とオススメされまして、そのたび、うるせぇ飯屋くらい自分で探せると思いつつ、「ありがとうございます」と完璧な社交辞令を返す俺ですが、ちょっと書きたい。銚子に行って寿司を食わないなん…

銚子・飯沼観音(圓福寺)のヤクザヲタ的宝物

東庄にある天保水滸伝の資料館でもコピーをくれる侠客番付のオリジナルがあるんですよ。天保水滸伝の登場人物、銚子の五郎蔵、飯岡助五郎、笹川繁蔵も載ってます。残念ながら少し滲んでいるんだけど、本物をみたのは初めてです。赤い縁取りがしてあるのも知…

千葉の喧嘩は銚子から始まる。銚子の喧嘩は飯沼観音から始まる。

戦後、高寅が熱心に寄進した銚子市の圓福寺は別名・飯沼観音という。戦後、一帯は銚子で最も賑わった繁華街だった。圓福寺は国道244号線を挟んで2つあり、おそらく観音前交差点近く、海側の五重塔があるあたりが、怪しげな店が建ち並んだエリア、言い替えれ…