自著のための補稿(鈴木智彦)

自著の資料、補足、写真、こぼれ話。

漁業協同組合

漁協の取材に密漁団がついてきた。

北海道では、噴火湾のナマコは枯れないんだそうです。生物学的に裏が取れなかったので本には書かなかったけど、密漁団はそう言う。だからまず最初は噴火湾の漁協に取材を申し込んだ。実をいうと、このエリアの漁協は排他的で、気が荒いと言われてます。密漁…

ダイバーがナマコを入れる玉ねぎ袋

北海道檜山郡上ノ国漁協で撮影 ナマコ漁は、桁引きと潜水の二種類があります。前者は船の上からどでかい鋼鉄製の熊手を落とし、それを引っ張って海底をさらう漁法です。岩礁地帯ではできません。そうした場所では潜水で獲ります。漁協が潜水部会を作るか、プ…

途方もない数の遭難者、その象徴としての千人

千人塚海難漁民慰霊塔:千葉県銚子市川口町2丁目6426−3 第四章に出てくる千人塚。高寅の時代の慰霊碑もある。漁師たちの生活が刹那的だったのは、危険な仕事だったからでもあるだろう。今でも地元の人が花を手向けている。 昭和三十五年に建立された慰…

ネダリ浜

ネダリ浜は正式名を弁天漁港という。俺が初めて取材したアワビの大量密漁事件は、この港で待ち伏せしていた海保職員が、北海道から遠征してきた密漁チームを現行犯逮捕したものだった。 「現場を見たいんですか?分かんないんじゃないかな。譜代漁協に行けば…

海上保安部と漁協

密漁は海の犯罪だから、どうしても海上保安庁に取材しなくてはならない。実際は警察も密漁を取り締まれるんだけど、海のプロの話が最も詳細、かつ面白い。ところが海保に正面から取材を申し込むと、まぁ役所はどこもそうだけど、取り締まりの現場を全然知ら…