自著のための補稿(鈴木智彦)

自著の資料、補足、写真、こぼれ話。

黒いあまちゃんとの再会

 

 

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黒いあまちゃんとは5年後に再会しました。俺は最初の出会いの時、彼女のことを週刊誌に書かせてもらった。『サカナとヤクザ』には再会時のエピソードも載っている。でも、ほんといえば、書かなかった部分がある。俺は彼女をもう一度呼び出しているんです。

彼女の境遇を知れば、ああ、と得心するはずだけど、ここでは伏せておきます。

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黒いあまちゃんは、実を言えば他にもいます。いまから10年くらい前、苫小牧近郊に、密漁と覚せい剤売買をシノギとする女性がいました。彼女は北海道の女ヤクザ第一号と言われていた。貧困はこれからも、犯罪に無関係だった人間を引っ張ってくるでしょう

黒いあまちゃんとの後日談は、どこかに書こうと思っています。

根室市の防災無線


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第五章に出てくる大津美子の『ここに幸あり』です。昭和31年5月のヒット曲です。作曲をした飯田三郎が根室の人なので、故郷の防災無線に採用されたということらしい。ぶっちゃけ、女は男に愛を捧げて生きるればOK的なクソみたいな歌詞なので、もはや感動できません。


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根室市役所の前に歌碑があった気がするけど、全然興味ないんで写真撮ってません。

 

 

 

 

玄関先に羆の剥製があって、シャワーが出ないのに1万円だったホテル。

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第五章に出てくるホテルです。空調はいさぎよく温風スイッチのみ。ま、根室の気温だと全然問題はないんだけど。

あと、この話は書かなかったんですが、ジャティック事件で米兵を隠したり、特攻船の陸周り(暴力団側の見張り)がたむろしていた玉屋旅館ってあったんです。ここにはユースホステルもあって、俺、高校生の時、チャリで北海道一周したんだけど、伝説のユースとして有名だった。悪い意味で。

というのは、朝起きると、枕元にメロンパンと牛乳が置いてあって、それが朝飯なんだそう。

根室(友知)YH

根室の駄目が全部揃ってるじゃんと思ったんですけど、原稿には、ねぇ。関係なさ過ぎてw

 

 

根室・特攻船のシルエット

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別のエントリーにも書いたが、俺は乗り物やカメラの描写がやたら多く、詳細になります。特攻船に関しては、遠慮なく自分の趣味を発揮して取材・検証しました。最高速度や改造方法、操縦のテクニックなど、詳細に聞き書きした。他の書き手なら無視するようなことも。

最初の特攻船は羅臼沖で鮭を狙いました。北海道ではアキアジというヤツです。このときはまだ和船に普通の船外機を積んでいました。その後、北方領土貝殻島周辺でウニを狙うようになり、このあたりから船体に大幅な改造を施し、大馬力エンジンを搭載していきます。必須だったのは写真上のようなキャビンで、通常、このクラスの和船にはない装備です。ソ連国境警備隊とガチの鬼ごっこをするためには、防風設備が必須だったのでしょう。

 

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船外機に『40』とあるのは40馬力であり、特攻船が積んでいたのは200馬力のエンジンでした。漁船は法律で最高出力が決められているので、レジャーボード扱いになる。それを最後には四機掛けしたんです。合計800馬力。燃料はすべてハイオクガソリンを炊く。レースに出てるパワーボートで密漁してるようなもんです。

この当時、根室歯舞のガススタは、日本で一番ハイオクを売ったらしい。なにせ晴れれば毎日特攻。カニにシフトしてからは片道2時間かかる特攻もあった。秘密兵器の存在も今回の取材で掴みました。特攻船取材、面白かったです。

 

 

 

築地の魚河岸のナンバーワン食堂

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そりゃあ吉野屋の1号店でしょう。異存あるまい。狂牛病騒ぎの中でも牛丼の提供をやめなかったらしい。銚子市に観光行って肉を食う逆張りはイラッとくるんですけど、魚河岸で肉を食うのは、ここで働いてる人間のチョイスに乗っかってみるという雰囲気があって好きです。ああ、ただの身勝手。

 

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実際、場内で寿司食ってるのは観光客です。というより、多くの業者が安い業者から弁当をとってて、それを食べていた。味気ない話で。

場内にあった豊ちゃんの『あたま』は、カツ丼の上にのってる具、っつーか、カツの卵とじのこと。ライスを別注するのが通らしく、築地市場聞き書きにも登場します。

味は……うまいけど…けど…って感じでしたw

釧路から根室に向かう途中、思わずバイクを止めた場所。

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釧路から根室まで、もう何往復したかわかりません。走るたびに綺麗で北海道らしい風景と感じる。根室では見たこともない野鳥がこうした風景をバックに飛んでるだけではなく、ごみステーション生ゴミを漁っておりますw ものすごくシュールな光景です。

倦怠期のカップルは、こうした川でカヌー漕いだらいいよ。知らんけど。