自著のための補稿(鈴木智彦)

自著の資料、補足、写真、こぼれ話。

2018-10-05から1日間の記事一覧

大物は築地の華である

記事のタイトルは、正延哲士の小説『伝説のやくざ・ボンノ』の有名な一節、「ボンノは、男の華である」オマージュです。実際、そう表現しても異存はなかろう。大物って言うのはマグロです。大きいからだと思います。知らんけど。第二章に、年末、俺が大物の…

密漁アワビと訴訟対策

築地市場で密漁アワビを売ってるかどうか確かめる!ってことでバイトを始めたんですけど、実を言うとすぐ分かったんですよ。あ、黒だなって。ぬるいんで。ただし、告発したいわけじゃない。動かぬ証拠を掴んで、糾弾したいわけじゃないんです。なので、途中…

築地市場の落書き

築地市場にはあちこちに「煙草を吸うな」「落書き厳禁」という張り紙があるんだけど、誰もがくわえ煙草で、そしてあちこちに落書きがあった。これは勝ちどき門にある駐車場ビルの中央にあるターレー用のエレベーター。4機あるんだけどいつもひとつか2つ壊れ…

落ちないのかなって思いませんか?

落ちるんですw 当然、落ちたよーって声をかけます。冷凍マグロだけではなく、発泡のケースも落ちます。カーブじゃなくても落ちる。高く積み上げた時、崩れないようラップを撒く時があるんですけど、それをしないほうがかっこいい、みたいなところはある。で…

築地魚河岸にある、恋人を連れて行きたい場所

それは冷凍庫です。マイナス18度より低いっす。密室に連れ込んでスケベなことをするわけではないw じゃあどうしてか。すっごくいい匂いがするんですよ。仕切りに使ってる木材と海産物の匂いが入り交じって。芳醇なウイスキーを連想させるような、最高の香り…

鮭のドレスとスーパー・バイトの加藤さん(仮名)。

第二章で出てくる鮭のドレス。ドレスとは魚の頭、エラ、内臓を取り除いたもののこと。この箱の中にドレスが4~6匹分入ってるんだけど、いったん取り出し、電動のこぎりで二枚下ろしにして、再び箱詰めして配送場所に運ぶ。これが午前2時に出社して、最初にや…

著者近影

築地の仲卸でバイトを始めた時、みるものすべてが新鮮で、あっちこっちに「遊びに来て!」と声をかけていた。いや、実際に来られてもバイト風情が提供できる特別サービスはないんだが。ただし、ターレーの後ろには乗ってもらえた。混雑した市場の中、たとえ…