自著のための補稿(鈴木智彦)

自著の資料、補足、写真、こぼれ話。

鮭のドレスとスーパー・バイトの加藤さん(仮名)。

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第二章で出てくる鮭のドレス。ドレスとは魚の頭、エラ、内臓を取り除いたもののこと。この箱の中にドレスが4~6匹分入ってるんだけど、いったん取り出し、電動のこぎりで二枚下ろしにして、再び箱詰めして配送場所に運ぶ。これが午前2時に出社して、最初にやる仕事でした。重いんですよ。めちゃくちゃ。ターレに5段重ねくらいだったら俺も詰めます。でもそれじゃ駄目なんです。

同僚のスーパー・バイトの加藤さん(仮名)……第二章に出てくるんですけど、彼はドレスを6段とか7段重ねにしていた。腕力もあって頭も切れる。気も回るし、ターレーの運転もうまい。場内でターレーはどう走ったらいいのか知ってますか? あれ、怯んだ方が道を譲るんですw 加藤さんは絶対に競り負けなかった。そのぶん事故は多かったけど。ちなみにターレーにはナンバープレートがついてるので公道はどこでも走れます。そして築地の場内で事故になると警察が来て検分をする。保険もききます。

加藤さんはオヤジ狩りをして捕まり、高校を中退して、一時期、ヤクザに誘われたらしい。すごくわかる。実際、昔はこういった人が若い衆になってたんだと思う。

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加藤さんはまだ築地で働いている。もう5年だからけっこうな顔だろう。俺は加藤さんからもらったドカジャンをいまも持っている。今年も活躍するだろう。