自著のための補稿(鈴木智彦)

自著の資料、補足、写真、こぼれ話。

第四章 千葉県・銚子市

飯岡組VS.笹川一家の対立抗争事件

平手造酒の殺害現場は、ちょうど墓地の中にある。 と、ヤクザ記事風に書けばそうなる。講談『天保水滸伝』では、大利根川原の決闘と呼ばれてます。双方が喧嘩支度をして、人気のない場所に集まって、無関係の市民が巻き添えにならないよう殺し合うってのは、…

東庄の十一屋を今風にいえば密接交際者

東庄には天保水滸伝に出てくる十一屋が残っています。今は旅館をやめ、当主の陶芸展示室になっているんだけど、外観は往事を感じさせる渋いたたずまいです。ここでなにがあったかというと花会です。浪曲師は「はながい」と発音していますが、「はなかい」で…

東庄は町全体が暴力団推し

俺が知ってる限り、街ぐるみで地元のヤクザを観光資源にしているのは、静岡県の旧清水市(現静岡市清水区)と千葉県東庄町のふたつです。前者は清水次郎長の地元であり、後者は天保水滸伝の善玉である笹川繁蔵の縄張りになります。そう書くと、「当時の侠客…

銚子の飯屋について書かせてほしい。

出張先でTweetすると「あれがおいしい」「この店に行って下さい」とオススメされまして、そのたび、うるせぇ飯屋くらい自分で探せると思いつつ、「ありがとうございます」と完璧な社交辞令を返す俺ですが、ちょっと書きたい。銚子に行って寿司を食わないなん…

銚子・飯沼観音(圓福寺)のヤクザヲタ的宝物

東庄にある天保水滸伝の資料館でもコピーをくれる侠客番付のオリジナルがあるんですよ。天保水滸伝の登場人物、銚子の五郎蔵、飯岡助五郎、笹川繁蔵も載ってます。残念ながら少し滲んでいるんだけど、本物をみたのは初めてです。赤い縁取りがしてあるのも知…

千葉の喧嘩は銚子から始まる。銚子の喧嘩は飯沼観音から始まる。

戦後、高寅が熱心に寄進した銚子市の圓福寺は別名・飯沼観音という。戦後、一帯は銚子で最も賑わった繁華街だった。圓福寺は国道244号線を挟んで2つあり、おそらく観音前交差点近く、海側の五重塔があるあたりが、怪しげな店が建ち並んだエリア、言い替えれ…

途方もない数の遭難者、その象徴としての千人

千人塚海難漁民慰霊塔:千葉県銚子市川口町2丁目6426−3 第四章に出てくる千人塚。高寅の時代の慰霊碑もある。漁師たちの生活が刹那的だったのは、危険な仕事だったからでもあるだろう。今でも地元の人が花を手向けている。 昭和三十五年に建立された慰…